公認会計士・勝間和代さんの著書「決算書の暗号を解け!ダメ株を見破る投資のルール」を読みました。
決算書の限界や問題点を丁寧に解説している本で、ファンダメンタルズ系投資家(バリュー投資家・長期投資家)の人にとっては非常に勉強になる内容です。特に決算書分析に苦手意識を持っている人は読んでおくことをオススメします。
ただ、決算書の分析は多くのプロが行なっていることですので、この部分で他の投資家(主に機関投資家)に差をつけるのは難しいのではないでしょうか。
一般的な投資家にとっては決算書の読解力を高めるよりも、他の部分で差をつける方法を考え抜いたほうが利益を上げるためには効果的だと思います。
私個人としては「長期投資を前提にした投資手法を採用」「決算書を読むのは嫌いではない」「本業で会計士と話すことが多い」といった理由から、確認の意味を含めて読んでおいて損はない1冊でした。
――― 気になった部分 ―――
◎監査法人による取締りには限界(日数と予算の制限)がある。しかも、監査人は企業から監査報酬をもらっているという事情がある。
◎アナリストは立場上、買い推奨をしたがります。
◎決算書を読むときに大切なのは、「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」の3つを合わせて見ること。特にキャッシュフロー計算書は軽視されがちである。
◎資産には「本当に価値があるもの」「額面どおりの価値があるか不明なもの」「いずれ費用化するもの」の3種類がある。
◎会計操作による利益調整は普通に行なわれている。
◎会計操作は「利益の借金」である。
◎1回の取引額が大きい企業は会計操作が行なわれやすい。
◎人件費は「ソフトウェア・建設仮勘定・研究開発費」などの形で資産計上して、コストを先送りすることが出来る。
◎決算短信=企業分析の基本。
◎有価証券報告書=決算短信よりも1ヶ月ほど遅れるが、より詳しく企業を知ることができる。
◎IR資料=企業にとって都合の良い情報公開が可能なので、疑って見る必要がある。
◎決算短信の「注意事項」のページには非常に重要なヒントが隠されていることが多い。企業が隠したいことほど小さな文字で書かれる。
◎健全な会社とは「自力で成長できる会社」のこと。
◎営業利益の開示義務は2006年から。
◎キャッシュフロー計算書の開示義務は2000年から。
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