少しでも手駒は多いほうが良いという考えから軽い気持ちで手を出した「板読みデイトレード術」の本でしたが、思いのほか大当たりの1冊でした。
著者は早稲田大学理工学部を卒業し、パチプロで年収1000万円以上を稼ぎ出した後、デイトレードで1億円以上を稼ぎ出したギャンブルの天才です。デイトレをはじめてから7年間の成績を見るとまさに圧巻です。
2005年 +2145万円
2006年 +2497万円
2007年 +3322万円
2008年 +4246万円
2009年 +3287万円
2010年 +1733万円
2011年 +2539万円
実績的にも内容的にも、日本人による株式投資ノウハウ本において「著者は本当の実力者」とはじめて感じた1冊かもしれません。
さて、絶賛の本書ですが、どこに一番感心したかと言いますと、「勝負事に勝つための方法を熟知している」ということです。しかも、長期に渡って勝ち続ける方法です。そのためには、「損することを前提の投資法(研究のための投資)」にも継続的に挑戦しますし、「裏づけ研究」に努力を惜しみません。
この本を読んだことで、今の自分自身の勝算の甘さを反省し、「投資法を根本的に変えたほうがよいのでは?」と考えてしまうほどでした。
全体的には抽象的な話が多く、具体的に稼げるテクニック(実際にそんなものを公開している人はいませんが・・・)を期待している人には向きませんが、著者の書いていることを正確に理解して実行できれば、勝算がカナリ上がるはずです。
「勉強は嫌いじゃない」「本を読むのも好き」「だけど大きな結果が出ない」という勝利への考えが甘い人には特にオススメです。
――― 抜粋(勝つための考え方) ―――
◎人対人でやりあう以上、人にやり方を教わって勝てるようになるものではないと思ったので、とりあえず100万円負けるまでは授業料だと思ってはじめてみた。
◎「自分には見えていないから」という理由から当然のように「誰にも見えていないはずだ」と思うのは、すごく自分にとって都合の良い考えだと思うので、すべては必然だと思うようにしています。
◎マイルールは1つもないのがベスト。「ルールだから」という理由で、考えることを放棄してしまっている(損切りルールなど)。
◎取引に一貫性をもたせる(INとOUTの根拠を統一する)ことは非常に大切。
◎多くの物事は相対的に考えたほうが真理が見えてくる。
◎大衆心理に巻き込まれないということは「逆張りをすればよい」という意味ではありません。
◎人の考えを模倣しただけで学習したと勘違いしないこと(○○信者など)。
◎「負けたけれど納得のいくトレード」がどのくらいあるか考えてみる。これが多くないと継続して勝つことは出来ない。
◎私の場合は、これが最初に見つけた自分にとっての勝ちパターンだった(他人の見せ板の利用)。
◎多くの人が使っている指標をいくつか使ったぐらいで勝てるほど甘くない。他の人が見えていない何かを取り入れなければいけない。
――― 抜粋(トレード知識) ―――
◎大口よりも小口のほうが感情で動きやすい。
◎「しこりが出来た価格」で売りが出やすく、「買いそびれて悔しい思いをした人が多い価格」で再び買いが入りやすくなる。
――― 著者はパーフェクトなのか? ―――
「もともとの高い能力」と「ギャンブルで勝ち続けてきた経験」があるため、株式投資においても高い確率で成功する可能性が高い著者ですが、それでも早い段階で「勝ちパターン」を見つけることができなければ市場から撤退していたかもしれません。
私がWEB業界で独立したときも、序盤に運良く仕事が上手くいったから生活が安定し、安定した環境のうえで能力を磨き続けることができました。
このように「諦める前に掴めるか?」はある程度「運」という面もあります。ただし、「勝てる人」はいくつかの分野を渡り歩いて、結局はどこかの分野で勝てるのだと思います。
――― 私は投資法を変えるべきなのか? ―――
カナリのショックを受けましたが、「私の本業の時給効率」と「デイトレで成功したときの時給効率」を考えると前者を続けたほうが効率が良いという考えに達したため、著者のような株式投資でのハイパフォーマンスは諦めることにしました。安定して年20〜30%のアウトパフォームを達成するトレードを習得します(トレード法が違ってくれば必然的に目指す目標も変えなければいけません)。
そのために著者を見習い「勝ちパターン」を見つけ出すため、楽をしようとせずストイックに自分の頭を回転し続けます。
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