「投資の科学 - あなたが知らないマーケットの不思議な振る舞い」という本を読みました。非常に示唆に富む内容で「この本と出会えて良かった」と思います。
私が株式投資を再開するにあたって考えていた「ビジネスと同じで株式投資は複雑系であり、常に状況の変化に合わせて戦略を変えなければならない」という大前提を肯定してくれるものでした。
ただし、この本を読んでも株式投資が上手くなることはありません。役立つエッセンスのオンパレードですが、知っているのと身についているのでは意味が違います。内容を全て身につけるには、個々のテーマについて膨大な量の思考を重ねる必要があります。
「初心者の方」や「株式投資に必勝法を求めている方」には難しすぎるのでオススメできません。底の見えない株式市場という海を本気で泳ぎきる覚悟のある人だけが読めばよいと思います。
――― 面白かった部分 ―――
※ カッコ内は私のコメントです。
◎競馬において馬の人気など問題ではなく、馬が勝つチャンスとオッズの間にどれだけ魅力的な乖離が存在しているかが重要なのである。
◎意思決定において唯一確かなのは「確実なものはない」ということである。
◎情報量の増加により精度が向上するわけではない。
◎人間は同じ大きさの損失に対して感じる不満のほうがはるかに大きい。
◎集中:優れた投資家はみな、自分の得意分野を大切にしている。
◎コイン投げの理論は、熟練した市場参加者が最も連勝を記録しやすいという事実を見逃している。
◎賭け金を払う直前よりも払った後のほうが、その賭けに勝つ自信をより強める。
◎模倣行為の本能:人は群れをなして考える。だから、群れをなして狂気に陥り、やがて1人ずつ、ゆっくりと正気を取り戻すのである。
◎お粗末な三段論法:人間は不合理である→マーケットは人間で構成されている→マーケットは不合理である。
◎後知恵バイアス:人間は出来事が終わったあとになって、その出来事の結果についてあらかじめ何かを知っていたと思う傾向にある。
◎意思決定の理由をノートなどに記憶しておくことは、意思決定の能力を高める手助けとなる。
◎人間の脳はシナプスを過剰に作り出して、それから必要なものだけを残し、あとは刈り取っていくというプロセルを辿る。
◎大抵の場合において集団の能力は個人の能力を超越する(一般人の予測市場の異常に高い精度を実現)。
◎ジョージ・ソロスが処理している情報の大部分は言語的なものであり、統計的なものではない。
◎実際のマーケットでは正規分布が示す確率よりもかなり頻繁に極端な価値の変動が起こる。そのためレバレッジを効かせたポートフォリオは致命的なダメージを受けることがある。
◎1980年から2004年までの間に2000社近くのハイテク企業が上場したが、そのうちの上位%が全利益を稼ぎ出した。
◎新規参入企業のほうが古参の伝統的な企業よりも、高いトータルリターンを株主にもたらす。
◎企業の投資収益は一定の期間が経過すれば資本コスト水準に回帰する。
◎企業成長率の分散は企業規模(売上高)の増大とともに減少する。
◎企業というものは転んだら起き上がれない。
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![]() | 運営者:かなめ 住まい:群馬県 生まれ:1980年 |