指標の意味(定義)を正確かつ深く理解することは、とても大事なことです。多くの指標に振り回されるよりも、1つ1つの指標の意味を丁寧に考えていきましょう。
――― GDPの定義 ―――
GDPとは「一定期間内に国内で生み出された付加価値の総額」です。もっと分かりやすく言うと「国内で作られたモノとサービスの合計」です。1人あたりのGDP(GDP÷国民数)は国民の経済的な豊かさ、GDPの伸び率はその国の経済成長率と捉えられています。
――― GDPの内訳(2010年) ―――
・民間消費支出 279兆円(約61.2%)
・民間設備投資 77兆円(約16.9%)
・政府支出 96兆円(約21.0%)
・貿易収支 4兆円(約0.9%)
対象は「個人(家計)」「企業」「政府」です。ちなみに「家事」や「ボランティア活動」はGDPとして計上されません。
アメリカはGDP内訳の70%が個人消費です(2006年のデータ)。これはアメリカが日本に比べて「工業よりもサービス業の比率が高い」ために起こる現象です。中国はGDPの35.6%が個人消費です(2009年)。まだまだ設備投資の比率が高い状況です。
日本も2006年の56.9%から比べると4.3%も増えているので、「工場を海外に移し、国内はサービス業の比率が高くなっている」という傾向が数値から見て取れます。
――― 所得収支はGDPに含まれない ―――
近年は貿易収支の下落が話題になっていますが、その一番の理由は「工場の海外移行」です(後はアメリカの個人消費衰退)。しかし、代わりに所得収支(海外への投資から得た利益・配当・利子など)は大幅に増えています。近年では毎年10〜15兆円で推移しています。
所得収支はGDPには含まれませんが、今後は確実に増えていく重要な項目なので、特に注目する必要があります。
――― 名目GDPと実質GDPの違い ―――
GDPには「名目GDP」と「実質GDP」の2つの指標があります。実質GDPは名目GDPに物価の影響(インフレ率)を含めた指標です。
例えば、名目GDPが横ばいでも、物価が大幅に上昇していれば、同じ金額での購買力が下がるので、実際の経済成長率はマイナスということになります。
実質GDPはその名の通り、「実質的な経済的豊かさの推移をあらわす指標」なのです。
――― 日本のGDP推移(1955年〜2010年) ―――
1955年から1989年のGDP推移です。戦後からバブル期まで右肩あがりで成長しています。
バブル崩壊(1991年頃)から2010年までのGDP推移です。「バブル崩壊」「失われた20年」とは言っても、その後のGDPはそれほど落ちてはいません。実質GDPに関しては緩やかにですが伸びてさえいます。問題はバブル期の急成長を前提とした不平等で非効率なシステムが改善されずに残っている点です。
――― 世界各国のGDP(2010年・ドル換算) ―――
順位 | 国名 | GDP |
---|---|---|
1 | アメリカ | 14.6兆ドル |
2 | 中国 | 5.9兆ドル |
3 | 日本 | 5.5兆ドル |
4 | ドイツ | 3.3兆ドル |
5 | フランス | 2.6兆ドル |
6 | イギリス | 2.2兆ドル |
7 | ブラジル | 2.1兆ドル |
8 | イタリア | 2.0兆ドル |
9 | カナダ | 1.6兆ドル |
10 | インド | 1.5兆ドル |
上位10ヶ国で世界195ヶ国のGDP合計の65.8%を締めます。
キーワードは「独占・寡占、問題の解決、高齢化、新技術による変革」などです。
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